新規上場申請のための有価証券報告書
(Ⅰの部)
株式会社ジェイテックコーポレーション
目次
頁
表紙
第一部 企業情報 ……… 1
第1 企業の概況 ……… 1
1.主要な経営指標等の推移 ……… 1
2.沿革 ……… 3
3.事業の内容 ……… 5
4.関係会社の状況 ……… 15
5.従業員の状況 ……… 16
第2 事業の状況 ……… 17
1.業績等の概要 ……… 17
2.生産、受注及び販売の状況 ……… 19
3.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 ……… 21
4.事業等のリスク ……… 23
5.経営上の重要な契約等 ……… 26
6.研究開発活動 ……… 27
7.財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ……… 30
第3 設備の状況 ……… 35
1.設備投資等の概要 ……… 35
2.主要な設備の状況 ……… 36
3.設備の新設、除却等の計画 ……… 37
第4 提出会社の状況 ……… 38
1.株式等の状況 ……… 38
2.自己株式の取得等の状況 ……… 49
3.配当政策 ……… 49
4.株価の推移 ……… 49
5.役員の状況 ……… 50
6.コーポレート・ガバナンスの状況等 ……… 52
第5 経理の状況 ……… 58
1.財務諸表等 ……… 59
(1)財務諸表 ……… 59
(2)主な資産及び負債の内容 ……… 107
(3)その他 ……… 110
第6 提出会社の株式事務の概要 ……… 114
第7 提出会社の参考情報 ……… 115
1.提出会社の親会社等の情報 ……… 115
2.その他の参考情報 ……… 115
第二部 提出会社の保証会社等の情報 ……… 116
第三部 特別情報 ……… 117
頁
第四部 株式公開情報 ……… 118
第1 特別利害関係者等の株式等の移動状況 ……… 118
第2 第三者割当等の概況 ……… 120
1.第三者割当等による株式等の発行の内容 ……… 120
2.取得者の概況 ……… 122
3.取得者の株式等の移動状況 ……… 123
第3 株主の状況 ……… 124
[監査報告書]
【表紙】
【提出書類】 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)
【提出先】 株式会社東京証券取引所 代表取締役社長 宮原 幸一郎 殿
【提出日】 平成30年1月25日
【会社名】 株式会社ジェイテックコーポレーション
【英訳名】 JTEC CORPORATION
【代表者の役職氏名】 代表取締役社長 津村 尚史
【本店の所在の場所】 大阪府茨木市彩都やまぶき2丁目4番35号
【電話番号】 (072)643-2292
【事務連絡者氏名】 取締役管理部長 平井 靖人
【最寄りの連絡場所】 大阪府茨木市彩都やまぶき2丁目4番35号
【電話番号】 (072)643-2292
【事務連絡者氏名】 取締役管理部長 平井 靖人
第一部【企業情報】
第1【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
回次 第20期 第21期 第22期 第23期 第24期 決算年月 平成25年6月 平成26年6月 平成27年6月 平成28年6月 平成29年6月 売上高 (千円) 334,837 369,245 366,774 596,906 801,811 経常利益 (千円) 54,193 83,630 56,033 124,514 199,706 当期純利益 (千円) 22,767 51,750 38,710 83,731 129,925
持分法を適用した場合の投資利益 (千円) - - - - -
資本金 (千円) 65,000 65,000 65,000 139,240 139,240 発行済株式総数 (株) 1,200 1,200 4,800 5,120 512,000 純資産額 (千円) 138,497 205,028 252,535 454,858 584,783 総資産額 (千円) 360,041 587,377 827,632 1,056,250 1,122,968 1株当たり純資産額 (円) 115,414.66 170,856.76 52,611.64 88.84 114.22 1株当たり配当額
(円)
1,000 1,000 1,000 - - (うち1株当たり中間配当額) (-) (-) (-) (-) (-) 1株当たり当期純利益金額 (円) 18,973.09 43,125.63 8,064.71 16.84 25.38 潜在株式調整後1株当たり当期純利
益金額
(円) - - - - -
自己資本比率 (%) 38.5 34.9 30.5 43.1 52.1 自己資本利益率 (%) 17.8 30.1 16.9 23.7 25.0
株価収益率 (倍) - - - - -
配当性向 (%) 5.3 2.3 12.4 - -
営業活動によるキャッシュ・フロー (千円) - - - 129,718 211,070 投資活動によるキャッシュ・フロー (千円) - - - △300,790 △114,564 財務活動によるキャッシュ・フロー (千円) - - - 185,151 △55,141 現金及び現金同等物の期末残高 (千円) - - - 258,026 300,026 従業員数
(人)
11 13 15 20 27
(外、平均臨時雇用者数) ( 2 ) ( 2 ) ( 3 ) ( 3 ) ( 1 ) (注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記
載しておりません。
2.売上高には、消費税等は含まれておりません。
3.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため記載しておりません。 4.第20期及び第21期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載
しておりません。第22期、第23期及び第24期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在 株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。 5.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。
7.第20期、第21期及び第22期の財務諸表については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)に基づき 作成しており、第23期及び第24期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する 規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しております。なお、第22期の数値については、同期の定 時株主総会において承認された数値について誤謬の訂正による修正再表示を反映しております。
8.第23期及び第24期の財務諸表については、株式会社東京証券取引所の「有価証券上場規程」第211条第6項 の規定に基づき、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に準じて、有限責任監査法人トーマツの監査を 受けておりますが、第20期、第21期及び第22期の財務諸表については、当該監査を受けておりません。 9.第20期、第21期及び第22期については、キャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、キャッシ
ュ・フローに係る各項目については記載しておりません。
10.当社は、平成26年11月1日付で普通株式1株につき4株の株式分割、平成28年11月11日付で普通株式1株に つき100株の株式分割、平成29年12月30日付で普通株式1株につき10株の株式分割を行っております。 そこで、東京証券取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申 請のための有価証券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133 号)に基づき、第20期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を 参考までに掲げると、以下のとおりとなります。
なお、第20期、第21期及び第22期の数値(1株当たり配当額についてはすべての数値)については、有限責 任監査法人トーマツの監査を受けておりません。
第20期 第21期 第22期 第23期 第24期
平成25年6月 平成26年6月 平成27年6月 平成28年6月 平成29年6月 1株当たり純資産額 (円) 28.85 42.71 52.61 88.84 114.22 1株当たり当期純利益金額 (円) 4.74 10.78 8.06 16.84 25.38 潜在株式調整後1株当たり当期純利
益金額
(円) - - - - -
1株当たり配当額
(円)
0.25 0.25 1.00 - -
(うち1株当たり中間配当額) (-) (-) (-) (-) (-)
2【沿革】
当社代表取締役社長の津村尚史は、世の中にないオンリーワンの技術により製品を作り出し、広く社会に貢献する ことを目指し、株式会社ジェイテック(現株式会社ジェイテックコーポレーション)を設立いたしました。設立当初 は、大手企業と創薬向け自動細胞培養装置の共同開発を進め、近年には再生医療及びiPS細胞関連機器の開発、製造 を推進しました。
また、同時に産学連携も積極的に推進し、現在の放射光施設用X線ナノ集光ミラーの事業化を開始いたしました。 本事業では、当社の自動細胞培養装置などの機器開発のノウハウを活かし、ミラー製造に関するナノ加工・ナノ計測 設備を自社にて開発し、事業の高度化・効率化を図りました。現在では、放射光施設「SPring-8(Super Photon Ring-8GeV)」(以下「Spring-8」という。)やX線自由電子レーザー施設「SACLA(Spring-8 Angstrom Compact Free Electron Laser)」(以下「SACLA」という。)に代表される国内外の先端的放射光施設やX線自由電子レーザ ー施設への納品を継続して行っています。
平成5年12月 大阪コンピュータ工業株式会社との共同出資により、大阪府吹田市に資本金10,000千円で株式会 社ジェイテック(現株式会社ジェイテックコーポレーション)を設立。
平成6年7月 バイオ自動機器(自動細胞培養装置、薬効評価装置)を開発。
大阪中小企業投資育成株式会社より出資を受け、資本金を15,000千円に増資。
平成9年7月 「完全表面創成のための高濃度スラリー精製システムの研究開発」が、科学技術振興機構(現国 立研究開発法人科学技術振興機構、以下「JST」という。)の平成9年度独創的研究成果育成事 業に採択され、大阪大学(現国立大学法人大阪大学、以下「大阪大学」という。)と共同研究を 実施。
平成14年7月 「プラズマCVM法による超精密バリ除去・判定装置開発」が経済産業省の平成14年度創造技術研 究開発事業に採択され、大阪大学と共同研究を実施。
平成16年1月 資本金を40,000千円に増資。 平成16年8月 神戸市中央区に本社を移転。
平成17年4月 大阪大学及び独立行政法人理化学研究所(現国立研究開発法人理化学研究所、以下「理化学研究 所」という。)の研究成果をもとにX線ナノ集光ミラーの事業化を開始。
平成17年8月 「タンパク質結晶化技術の開発」が平成17年度兵庫県COEプログラム推進事業に採択され、研究 を実施。
平成17年12月 兵庫県知事より経営革新計画(X線集光ミラー)の承認を取得。
平成18年2月 「硬X線ナノ集光用高精度楕円ミラーの実用化」が新技術開発財団の新技術開発助成に採択さ れ、研究を実施。
平成18年3月 「硬X線ナノ集光用高精度楕円ミラーの実用化」が中小企業基盤整備機構の中小企業・ベンチャ ー挑戦支援事業のうち事業化支援事業に採択され、研究を実施。
平成18年9月 「放射光用超高精度形状大型ミラー製造技術の開発」が兵庫県の平成18年度兵庫県COEプログラ ム推進事業に採択され、財団法人高輝度光科学研究センター(現在の公益財団法人高輝度光科学 研究センター、理化学研究所の関連団体、以下「高輝度光科学研究センター」という。)、理化 学研究所、大阪大学と共同研究を実施。
平成18年12月 神戸市よりKOBEドリームキャッチプロジェクトによるX-KOBEに認定(X線集光ミラー)。 平成19年1月 ひょうご産業活性化ファンド第2号投資事業有限責任組合(ひょうごキャピタル第2号ファン
ド)より出資を受け、資本金を65,000千円に増資。 平成19年2月 大阪府茨木市(彩都あさぎ)に開発センターを開設。
平成19年7月 「軟骨再生医療のためのGMP対応自動回転培養システムの構築」がJSTの平成19年度科学技術振興 機構大学発ベンチャー創出推進に採択され、独立行政法人産業技術総合研究所(現国立研究開発 法人産業技術総合研究所、以下「産業技術総合研究所」という。)と共同研究を実施。 平成19年9月 「放射光用超高精度形状大型ミラー製造技術の開発」が兵庫県の新産業創出支援事業(新製品・
新技術:産学連携・事業連携)に採択され、研究を実施。
平成21年9月 「放射光用ミラーに関する加工技術の高精度化」が経済産業省の平成21年度補正予算事業戦略的 基盤技術高度化支援事業に採択され、大阪大学と共同研究を実施。
同年同月 「形成外科用自動細胞培養装置」が経済産業省の平成21年度補正予算ものづくり中小企業製品開 発等支援補助金(試作開発等支援事業)に採択され、研究を実施。
平成22年4月 「X線ナノ集光ミラー製造プロセスに関する技術開発」がJSTの平成22年度高度研究人材活用促 進事業に採択され、研究を実施。
平成23年2月 「放射光用ミラーに関する加工技術の高精度化」が経済産業省の平成22年度予備予算事業戦略的 基盤技術高度化支援事業加速枠に採択され、大阪大学と共同研究を実施。
平成23年3月 「再生医療等に用いる大型軟骨組織を高効率に形成する細胞培養システムの開発」が経済産業省 の平成23年度第3次補正予算戦略的基盤技術高度化支援事業に採択され、大阪大学、産業技術総 合研究所と共同研究を実施。
平成24年5月 「放射光用X線ミラー製造の効率化のための加工及び計測技術の開発」が経済産業省の平成23年 度グローバル技術連携・創業支援補助金(一般枠)に採択され、大阪大学、OptiWorks株式会社 と共同研究を実施。
平成25年7月 「ナノ集光用焦点距離可変型ミラーの試作開発」が経済産業省の平成24年度ものづくり中小企 業・小規模事業者試作開発等支援補助金に採択され、大阪大学と共同研究を実施。
同年同月 「放射光用X線長尺KBナノ集光ミラーの製造技術に関する研究」が経済産業省の平成25年度中小 企業経営支援等対策費補助金に採択され、大阪大学と共同研究を実施。
同年同月 「3次元細胞培養システムによる再生医療等に用いるヒト軟骨デバイスの開発」が京浜臨海部ラ イフイノベーション国際戦略総合特区の平成24年度課題解決型医療機器等開発事業に採択され、 公立大学法人横浜市立大学(以下「横浜市立大学」という。)、産業技術総合研究所、大阪大学 と共同研究を実施。
平成26年6月 「iPS細胞等の3次元大量培養技術の開発」が経済産業省の平成26年度戦略的基盤技術高度化支 援事業に採択され、産業技術総合研究所、大阪大学と共同研究を実施。
平成26年7月 「再生医療等に用いるヒト軟骨デバイスの実用化のための3次元細胞培養システムの開発・事業 化」が京浜ライフイノベーション国際戦略総合特区の平成26、27年度医工連携事業化推進事業に 採択され、横浜市立大学、産業技術総合研究所、大阪大学と共同研究を実施。
平成26年10月 大阪府茨木市彩都やまぶきに新社屋を竣工し、同所に開発センターを移転。
平成27年7月 「1m級長尺放射光X線ミラー用高精度成膜装置の開発」が経済産業省の平成26年度補正ものづ くり・商業・サービス革新補助金に係る補助金に採択され、研究を実施。
同年同月 細胞観察機能を有したiPS細胞用自動培養装置の開発が平成27年度おおさか地域創造ファンドの 重点プロジェクト事業助成金に採択され、研究を実施。
平成27年9月 本社を大阪府茨木市(彩都やまぶき)に移転。
平成27年12月 OUVC1号投資事業有限責任組合<通称:OUVC1号ファンド>(無限責任組合員:大阪大学ベンチ ャーキャピタル株式会社)及びバイオ・サイト・キャピタル株式会社より出資を受け、資本金を 139,240千円に増資。
平成28年4月 大阪大学吹田キャンパス産学連携本部B棟内に細胞培養センターを開設。 平成28年5月 商号を株式会社ジェイテックコーポレーションに変更。
同年同月 中小企業庁の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」(わざ、生産性優良)に選定。 平成28年9月 「臨床試験を目指す3次元細胞培養システムを用いた革新的ヒト弾性軟骨デバイス創出」が国立
研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の産学連携医療イノベーション創出プログラム (ACT-M)に採択され、横浜市立大学、地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども 医療センターと共同研究を開始。
平成29年8月 「iPS細胞等幹細胞の高効率な継代作業を実現した3次元大量継代培養自動化技術の実用化開 発」が経済産業省の平成29年度戦略的基盤技術高度化支援事業に採択され、大阪大学と共同研究 を実施。(平成29~31年度)
同年同月 「回折限界下で集光径可変な次世代高精度集光ミラーの製造技術の開発」が平成29年度兵庫県最 先端技術研究事業(COEプログラム)に採択され、大阪大学、理化学研究所、高輝度光科学研究 センターと共同研究を実施。
3【事業の内容】
当社は、世の中にないオンリーワンの技術により、広く社会に貢献することを経営理念として、創薬、医療技術分 野におけるイノベーションの推進に貢献するシステムの開発、販売を推進してまいりました。
当社は、『オプティカル事業』と『ライフサイエンス・機器開発事業』の2つのセグメントを有しております。 『オプティカル事業』の主要製品は放射光及びX線自由電子レーザー施設向けX線ナノ集光ミラーであります。 当事業では、兵庫県に建設されました大型放射光施設「SPring-8」<注1>や、「SPring-8」に隣接して建設され ましたX線自由電子レーザー施設「SACLA」<注2>及び海外の同様の施設で行われておりますX線を利用した基礎 研究や産業利用など幅広い研究のための高度化された分析装置に使用されるX線ナノ集光ミラーを中心とした特殊ミ ラーの製造・販売を行っております。
『ライフサイエンス・機器開発事業』の主要製品は各種自動細胞培養装置、その他自動化装置であります。 当事業では、創業当初から大手企業と各種自動細胞培養装置を共同開発し、製造・販売してまいりました。また医 療及びバイオ分野以外にも半導体分野、化学・繊維分野、印刷分野等の様々な分野において研究機関や企業からの委 託開発製品や独自の製品を開発・製造・販売してまいりました。
(1) オプティカル事業
当事業では、物質科学だけでなく、広く創薬や医療技術の基礎研究に取り組んでいる兵庫県の大型放射光施設 「SPring-8」やX線自由電子レーザー施設「SACLA」等国内外の先端的放射光施設やX線自由電子レーザー施設等 で使われる反射表面の形状精度が1ナノメートル(10億分の1メートル、以下nmと表記。)以下の超高精度のX線 ナノ集光ミラー等の設計開発・製造・販売を行っております。
本ミラーは放射光X線をnmスケールまで絞ることが可能で、そのことにより分析精度の向上、測定時間の短縮や 極微小領域の分析等を実現し、放射光の優れた特性を発揮させることが可能になります。
(a) 放射光施設及びX線自由電子レーザー施設向けX線ナノ集光ミラーの技術的背景
「SPring-8」や「SACLA」で利用されている放射光は、電子銃から放出した電子を光とほぼ等しい速度まで加速し た後に、磁力によってその電子の進行方向を曲げたときに発生し、赤外線、可視光線、紫外線、軟X線(波長が比 較的長い、薄い空気層でも吸収されるような透過力の弱いX線)、硬X線(エネルギーが高く透過力の強いX線) 等の色々な種類の光で構成されております。この放射光に含まれているX線は、大学の研究室や病院のレントゲン 室などにある検査装置等で発生するX線と比べ、10億倍以上明るく、X線の発生方法の違いにより発散せずに遠方 まで進む特性を有するなど優れた性質を有し、例えば物質の種類や構造、性質を詳しく分析することができ、物質 科学、生命科学、医学など様々な分野で幅広く利用され、産業技術の発展に貢献しております。
従来、放射光施設などにおいて硬X線集光を行うためには、ゾーンプレート<注3>を用いた光学系<注4>で は集光強度、集光径<注5>に限界があり、後に普及したKB型光学ミラー<注6>でも、研削技術がネックとな り、研究者が期待する精度のミラーを製作することが不可能でありましたが、平成17年に大阪大学で開発された2 つの超平坦化基盤技術により、「SPring-8」の理化学研究所・播磨研究所と、ナノメートルオーダー<注7>の非 球面形状精度と表面粗さを両立したKB型光学ミラーを共同研究し、世界で初めて硬X線を回折限界<注8>まで集 光(最小集光径36nm×48nm)することに成功しました。
その2つの超平坦化基盤技術とは、原子レベルで平坦な完全表面(任意形状でありながら、高い形状精度を持 つ、原子レベルで平坦な表面であり、表面層にも原子配列の乱れが全く無い表面)を実現するナノ加工技術EEM (Elastic Emission Machining)と表面形状をナノメートル精度で計測可能なナノ計測技術RADSI(Relative Angle Determinable Stitching Interferometry)及びMSI(Micro Stitching Interferometry)といい、この技術 によって開発したミラーは、“KB Nanofocus mirror”として従来にない性能を有し、国内外の研究者から商品化 が望まれました。
そこで当社ではこのKB型光学ミラー(以下「X線ナノ集光ミラー」という。)を、大阪大学のナノ加工技術EEM とナノ計測技術RADSI及びMSIをもとに、当社が創業時から培ってきた機器開発の技術を用いてミラー製造に関わる 各種の自動化製造装置を開発し、実用化いたしました。
平成18年からは本技術により製作したミラーを“OsakaMirror”(平成21年商標登録済)と名付け販売を開始 し、世界の先端的な放射光施設やX線自由電子レーザー施設の研究者から評価を得て、数多くの研究施設に納入し ております。
(b) ナノ加工技術EEM(Elastic Emission Machining)について
凹凸の凸部だけを選択的に研磨することを特徴としており、最終的には凹凸の高さは1nm以下(原子数個分)とな り、現在世界で最も凹凸の無い面を作り出すことに成功した加工法であり、原子レベルで平坦な表面を作製するこ とができます。(図1参照)
また、通常の一般的に行われている表面加工技術であるエッチングやCMP(Chemical Mechanical Polishing)は 薬品を用いますが、EEMは薬品を用いないため、環境にやさしい加工技術といえます。
図1.EEM原理
下 の写 真は シリ コンウ ェー ハの 表面 をEEMし たとき の 加 工表 面を STM(走 査型 ト ンネ ル顕微鏡 )で 観察 した もの で、理想平面に対してのPV値(最大-最小値)が2.4nm(図2.(a))から0.5nm(図2.(b))まで改善されています。 また原子層ごとに色分けをした結果、95%が3原子層で構成される、世界レベルで平坦な加工であることが実証さ れています。図2.(c)はEEM面で、各輝点は原子1つに対応しており、機械的歪み(物体が引張り・圧縮・せん断 等の外力によって物体の変形状態を表す尺度で、物体の基準(初期)状態の単位長さあたりに物体内の物質点がど れだけ変位するかを示す。)が一切なく原子配列を乱さず40×40nmの95%が3原子層で構成されている、世界レベ ル で 平 坦 な 加 工 法 で あ る こ と を 実 証 し て い ま す ( 「 H a r d X - r a y D i f f r a c t i o n - L i m i t e d N a n o f o c u s i n g w i t h Kirkpat rick-Baez Mirr ors」 Hi dekazu Mimura, Satoshi Mats uyama, Hirokazu Yumoto, Hideki Hara, Kazuy a Ya ma mu ra , Ya su hi sa S an o, Ma su fu mi S hib ah ar a, Ka ts uy os hi En do , Yuz o Mo ri, Y os hi nor i Ni sh ino , Ke nj i Ta ma sa ku , Ma ki na Y ab as hi, T et su ya I sh ik aw a, Ka zu to Y am au ch i / Ja pa nes e Jo ur na l of A pp li ed Ph ys ic s Vol.44,No.18,2005,pp.L539-L542 )。
PV2.4nm PV0.5nm
(a)超LSI用シリコンウェーハ表面 (b)EEM後の表面 (c)測定領域40×40nm 図2.STMによるEEM表面の観察
当社では本EEM技術の基本特許に関する特許実施権を取得しており、また関連特許は全て自社で保有し、更に各 種EEM装置は全て内製化しており、競合メーカーとの差別化を図っております。
つなぎ合わせることにより形状データを算出する本計測技術RADSIを開発し、非球面形状でも低周波成分の形状計 測をすることを可能にしました。(図3参照)
その結果それぞれの計測結果(MSIの高周波成分とRADSIの低周波成分)を組み合わせることにより、非球面ミラー 全体の形状の測定において、全空間波長の計測誤差を最小限に抑えてnm精度で形状計測することに成功しました。 (図4参照)
RADSI MSI
長い空間波長領域(低周波成分)でPV1nmの測定 再現性がある→問題点:高周波成分の誤差がある。
数mm以下の空間波長領域(高周波成分)でPV1nmの測定再 現性がある→問題点:一度に大面積の測定ができない。 図3.表面形状ナノ計測技術MSI及びRADSI
全空間波長の形状をPV1nm 以下の精度で計測可能。
図4. 組み合わせ形状データ
当社はこの計測技術を用いた自動化装置も大阪大学との共同開発により、EEM装置と同様に内製化し、事業化を 加速することができました。
RADSI及びMSI技術に関連する特許は全て大阪大学との共同出願であり、既に数多く特許を取得しております。 さらに現在、当社では需要の高まっている長尺ミラー用のRADSI及びMSIを独自に開発し、1m長の長尺の非球面 形状の反射ミラーの形状の測定においても、計測誤差をナノメートルオーダーで形状計測が可能となりました。
(d) 事業の概要
当社が販売するX線ナノ集光ミラーは兵庫県にあります「SPring-8」に代表される大型の放射光施設や 「SACLA」のようなX線自由電子レーザー施設のほか世界各地の同様の施設で使われ、顧客は主に国内外の国立の 研究機関や大学の研究者であり、国の研究予算により、年々積極的に新しい研究が提案され、新しい光学系の構築 がなされております。
最近では放射光施設やX線自由電子レーザー施設において、物理、化学、生物などの基礎科学研究分野から、医 学利用、医薬品設計、材料評価などの応用分野に加えて産業利用ニーズも高まりをみせ、放射光利用者は年々増大 しております。これに伴い、より小さな試料やより高い空間あるいはエネルギー分解能(放射線のエネルギー測定 の精度を表す指標。)での分析が求められ、光を扱う技術への高度化の需要は世界レベルで高まっており、当社 の“OsakaMirror”の需要が拡大しております。特に平成25年頃からアメリカやヨーロッパだけでなく東アジアの 放射光施設やX線自由電子レーザー施設からの当社への受注も増加しております。
りますが、ビームラインの川中、川上でも放射光の高調波カットや任意の波長を選択するための分光用の回折格子 (グレーティングミラー。放射光施設で生み出される光は、波長の長い赤外線から波長の短いX線まで様々な波長 の光が混在しており、その光から軟X線など特定の波長だけを取り出す(分光する)ために用いられる。)など2 枚~8枚程度の様々な光学ミラーが使われております。その各種ミラーもX線ナノ集光ミラー同様に高精度化が要 求されており、当社ではそれら需要にも積極的に応えてまいりました。
当社では常に海外の競合メーカーに対する技術的な地位を保持するために加工・計測に関する製造設備の高度化 を図り、また次世代のミラーや様々な自由曲面ミラーの製品化のための研究開発を進めております。
平成29年8月に兵庫県最先端技術研究事業(COEプログラム)に採択され、「回折限界下で集光径可変な次世代 高精度集光ミラーの製造技術の開発」、大阪大学、理化学研究所及び高輝度光科学研究センターと共同研究を実施 し、次世代ミラーの商品化を目指しています。
X線ナノ集光ミラーはカスタムメイドであり、これを使用する研究者の実験条件により、その都度形状設計が必 要となります。当社は長年大阪大学、理化学研究所及び高輝度光科学研究センターとの共同研究を推進し、その研 究を通してX線ミラーの設計のノウハウを習得したことにより、顧客である研究者に対して最適なX線ミラーの提 案が可能となり、今では海外の競合企業に対して差別化が図れております。
さらに本ナノ加工・計測技術を使って、放射光以外のX線光学素子<注11>用など他の産業分野(半導体、医療 及び宇宙分野等)へ製品展開を図るために他企業との共同開発を積極的に進めております。
製造手順は、X線ミラーを受注してから形状設計を実施、承認後、原料となる単結晶シリコンなどのインゴット を調達し、まず外部の協力企業において目標形状に対して機械研磨、研削加工などで形状前加工(近似加工)を実 施します。その後当社で目標形状に対してnm精度までナノ加工EEMとナノ計測RADSI及びMSIを繰り返し、製品を完 成させます。また必要に応じてX線ミラーの反射表面に金やロジウムなどを均一にコーティングします。
販売体制としては、顧客の大半が国立研究機関や大学などであるため入札になる場合が多く、基本的には直接販 売を行っております。また放射光施設のビームラインをまとめてプラント業者に発注するケースもあり、その工事 受注業者からの発注になる場合もあります。
〔事業系統図〕
(2) ライフサイエンス・機器開発事業 (a) 事業の概要
当事業では、創業当初は創薬スクリーニング<注12>に関連する細胞培養<注13>から、再生医療に関連する細 胞培養まで様々な細胞操作を自動化した各種自動細胞培養装置やiPS細胞<注14>用の各種細胞培養装置の開発・ 製造・販売を推進してまいりました。
当社の自動細胞培養装置は、培地と呼ばれる細胞増殖に欠かせない栄養分を交換したり、細胞を培養したり、培 地を保存したりする様々な機能をオールインワンにまとめた全自動化のシステムであることが特長で、この医療及 びバイオ分野では顧客の希望する内容が多様化しており、顧客ごとに独自の操作手順を提案し、カスタムメイドで 製造・販売してまいりました。
しかし最近では高価な自動細胞培養装置に対して量産汎用タイプを目指し、iPSアカデミアジャパン株式会社(現 株式会社iPSポータル)とiPS細胞専用の自動細胞培養装置の開発に成功し、京都大学の山中伸弥教授がノーベル生 理学・医学賞を受賞した直後、タイムリーに販売することができました。また長年産業技術総合研究所と浮遊培養 (培地内を細胞が浮遊状態で増殖する培養方法)の一種である独自のCell Float技術<注15>を用いた3次元培養 <注16>装置をコアにした再生医療向け3次元細胞培養システムの研究開発を推進し、また再生医療や創薬へ製品 展開を図っております。
尚、医療及びバイオ分野以外でも企業からの委託開発を受注してOEM製品として供給したり、独自の製品として X線ナノ集光ミラー用の集光装置等を製造しております。
当事業では、ユーザーへの提案から開発・設計は自社で実施しておりますが、その後の製造に関しては外部の協 力会社に委託するファブレス化を進めております。
販売体制としては、直接販売のほか販売チャンネルとして広く販売代理店を活用しております。
また当社の認知度向上のため細胞培養に関わる展示会や学会において積極的に機器紹介やその中で使用されてお ります技術の紹介等を実施し、最近ではiPS関連や再生医療等の研究会や団体へ積極的に参画することにも努めて おります。
〔事業系統図〕
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
図6.ライフサイエンス・機器開発事業系統図
(b) 研究開発
当社は、再生医療分野や創薬スクリーニング分野への展開を図るため、下記のような研究開発に取組んでおり、 再生医療や創薬スクリーニング向けの各種細胞培養に関連する製品開発に注力しております。
・再生医療向け細胞培養装置の研究開発について
当社は、長年産業技術総合研究所と研究開発を進めてまいりました3次元培養技術を用い、京浜臨海部ライフイ ノベーション国際戦略総合特区事業(平成24年度課題解決型医療機器等開発事業、平成26、27年度医工連携事業化 推進事業)として、横浜市立大学、産業技術総合研究所、大阪大学とともに「再生医療等に用いるヒト軟骨デバイ スの実用化のための3次元細胞培養システムの開発・事業化」に関する共同研究を推進し、昨年度からは国立研究 開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の産学連携医療イノベーション創出プログラム(ACT-M)に採択 され(「臨床試験を目指す3次元細胞培養システムを用いた革新的ヒト弾性軟骨デバイス創出」)、横浜市立大学 及び神奈川県立こども医療センターと臨床研究を開始しております。(「第2 事業の状況 6 研究開発活動」 を参照。)
本事業では再生医療等に用いる数十mm以上の大きさの弾性軟骨<注17>の大型組織細胞の培養を可能とする3次 元細胞培養システムを開発し、製品化の目途を立てております。
・創薬スクリーニング用細胞培養装置の研究開発について
当社は、経済産業省の「平成26年度中小企業経営支援等対策費補助金(戦略的基盤技術高度化支援事業)」(平 成26~28年度)に採択され、産業技術総合研究所、大阪大学と「iPS細胞等の3次元大量培養技術の開発」の共同研 究を推進し、独自の3次元培養技術であるCell Float技術を応用し、創薬スクリーニングの毒性試験等に用いる3 次元の肝臓細胞組織等を均質で大量に培養可能な大量培養装置や、この大量の3次元組織細胞を用いた創薬スクリ ーニング用自動化装置の開発に成功しました。
当社では本装置を用い、肝臓細胞そのもののスクリーニングに向けた細胞特性の評価や品質安定性の評価が行え る体制の構築も進め、これら3次元培養した肝臓細胞をより安価に提供する培養プロセスの開発に努め、製薬会社 等が行っております創薬開発プロセスにおける動物を用いたスクリーニング工程との置き換え並びにスクリーニン グの信頼性の向上を目標としたシステムの研究開発を行っております。
・iPS細胞のための培養技術の研究開発について
このCell Float技術をもとにしたiPS細胞等の未分化維持培養のためのシステムである回転浮遊培養装置 「CellPet 3D-iPS」<注18>やスフェロイド<注19>を小片化するフィルトレーション装置「CellPet FT」<注20 >などの製品化に成功しました。さらにiPS細胞等の大量培養のための技術開発も推進し、今年度から戦略的基盤 技術高度化支援事業(平成29~31年度)に採択され、大阪大学医学部及び工学部と「iPS細胞等幹細胞の高効率な 継代作業を実現した3次元大量継代培養自動化技術の実用化開発」のための共同研究を進めております。
・細胞培養センター設立について
平成28年4月から大阪大学吹田キャンパス産学連携棟本部B棟内に、当社で開発を進める各種バイオ関連機器の 上市(新製品を市販すること)に向けた培養評価の実施と、様々な研究機関や企業とのオープンイノベーションの 場とすることを目的に、細胞培養センターを設けました。現在、既に複数の企業と培養に関する新製品開発を目指 し、共同研究を実施しております。(「第2 事業の状況 6 研究開発活動」を参照。)
注1:大型放射光施設「SPring-8」(Super Photon Ring-8 GeV)
「SPring-8」とは、兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光を生み出すことができる大型放射光施 設です。放射光とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、磁石によって進行方向を曲げた時に発生する、細く強 力な電磁波のことです。「SPring-8」では、この放射光を用いてナノテクノロジー、バイオテクノロジーから産業利 用まで幅広い研究が行われています。「SPring-8」の名前はSuper Photon ring-8 GeV(80億電子ボルト)に由来し ています。
「SPring-8」は国内外の産学官の研究者等に開かれた共同利用施設であり、平成9年から放射光を大学、公的研究 機関や企業等のユーザーに提供しています。課題申請などの手続きを行い、採択されれば、誰でも利用することがで きます。
「SPring-8」の施設者は理化学研究所であり、「SPring-8」の運転・維持管理、並びに利用促進業務を高輝度光科 学研究センターが行っています(図A参照)。
注2:X線自由電子レーザー施設「SACLA(SPring-8 Angstrom Compact Free Electron Laser)」
平成18年3月に策定された第3期科学技術基本計画(平成18年3月28日閣議決定)において国家基幹技術の一つと して選定されたX線自由電子レーザー施設として、平成18年度から理化学研究所と「SPring-8」を運営する高輝度光 科学研究センターが共同で施設の建設・整備を行い、平成23年3月に完成、0.063nm(0.63Å(オングストローム:微 小な長さを表すのに用いられる単位。1Å=0.1nm))の世界最短波長のX線レーザー生成に成功した施設であり、平 成24年3月7日より供用運転を開始しています(図A参照)。
図A 大型放射光施設「SPring-8」、X線自由電子レーザー施設「SACLA」
注3:ゾーンプレート
物質透過率の高いX線では、物質毎の屈折率が変わらないため、レンズは役に立ちません。そこで、ゾーンプレー トと呼ばれる光の通るところと通らないところが交互に並ぶ同心円状のものを用い、ピンホールのように光の回折と 干渉を利用した集光方法があります。
注4:光学系
光学系とは、光の反射や屈折などの性質を利用して物体の像をつくったり、集光したりする部品や装置の総称のこ とを示すものです。部品としてはミラーやレンズが当たります。
注5:集光強度、集光径
集光強度とは、レンズ等を利用して光を1点に集めた場所(集光点)の明るさのことを示すものです。また、先に 述べました集光点が物理的に理想的な集光をしたとしても、極微小ながらある程度の大きさを有しており、その大き さのことを集光径といいます。ここでは、集光強度を高くすることと集光径を小さくすることは同じ意味となりま す。
注6:KB型光学ミラー
2枚の非球面ミラーを特殊な配置をすることによって、2次元的な結像を可能とするミラー。開発者Kirkpatrick (カークパトリック)とBaez(バエズ)の二人の頭文字をとって、KB(Kirkpatrick-Baez)型配置と呼れています。
注7:ナノメートルオーダー
nmの単位で表される長さや範囲のことを示します。
注8:回折限界
直進している光であっても小さい穴を通過した後ではそのまま直進するのではなく放射的に広がる性質を持ってお り、この現象を回折といいます。この性質があるために物理的に理想とするレンズを用いて光を1点に集めようとし ても限界があることが知られており、このことを回折限界といいます。
注9:マイケルソン型位相シフト干渉計
アメリカの物理学者マイケルソンによって考案された二光束干渉計で光速度の測定に用いられます。
注10:フィゾー型干渉計
レーザーを光源とする干渉計で、簡単な構成で高精度の平面測定、球面測定が行えるため、最も普及している干渉 計です。
注11:X線光学素子
光の反射や屈折を起こさせるための部品のことを指します。例えば、ミラーは光を反射させるため、レンズは光を 集めたり広げたりするため、プリズムは可視光を7つの色の光に分けるため、偏向フィルターは光の波の向きがそろ っているものだけを通過させるために使用されています。
注12:創薬スクリーニング
新たな医薬品が製品となるまでの一連の過程を創薬と呼び、種々のアッセイ(評価)系を用いて化合物を評価し、 その多くの化合物群(ライブラリー)の中から新規医薬品として有効な化合物を選択する作業のことをいいます。
注13:細胞培養
多細胞生物から細胞を分離し、体外で増殖、維持することで、生体外で培養されている細胞のことを培養細胞と呼 び、本事業においてはこの培養細胞を培養することを細胞培養といいます。
注14:iPS細胞
人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell)の略。京都大学山中教授が作製に成功し、皮膚細胞に特定 の4つの遺伝子を導入することにより、ES細胞(胚性幹細胞)のように様々な細胞に分化・増殖できる万能細胞のこ とをいいます。特定の細胞や臓器に分化させることによって再生医療の可能性を拡大し、新たな遺伝子治療や薬の開 発プロセスでの応用など、医学の臨床及び基礎研究の両面において、今後大きな役割を担っていくものと期待されて います。
注15:Cell Float技術
Cell Float(図B参照)は、ガス交換膜を裏側に備えた円形のベッセルが、回転することで細胞に与える重力を打 ち消すような培養液の流れにより、細胞組織はベッセルの底に沈むことなく、培養液中にふわふわと浮いた状態で 徐々に3次元集合体を形成する培養技術で、RWV(Rotating Wall Vessel)回転培養法の一種です。
(a)装置本体部 (b)回転培養ベッセル(培養器) 図B Cell Float(CellPet 3D)
注16:3次元培養
細胞培養は通常、ディッシュやフラスコを用いて、平面空間上に細胞を接着させ増殖、分化させますが、平面空間 上で培養した細胞は2次元シート状組織しか形成せず、培養の目的によっては、得られる細胞組織が十分な機能を持 たないことがあります。再生医療のように、3次元的に損傷した組織に移植する組織を生体外で培養する場合、3次 元培養による3次元組織が重要であると言われています。
注17:弾性軟骨
軟骨組織の一種で、外耳道軟骨、耳介軟骨、喉頭蓋軟骨、鼻軟骨などがこれに属します。軟骨基質は弾性線維で構 成されているため弾力を持っています。新鮮なものは黄色く見えるため黄色弾性軟骨とも呼ばれています。
注18:CellPet 3D-iPS
主にiPS細胞を立体的(3次元的)な細胞集合体として培養するための、当社が開発した独自の回転浮遊培養装置 となります。この装置は培養技術としてCell Float技術(注15を参照)を適用し、また本装置に適用する培養ベッセ ルはiPS細胞の培養前後の処理作業を考慮し、注射器(シリンジ)型を採用しています(図C参照)。
図C 回転浮遊培養装置(CellPet 3D-iPS)
注19:スフェロイド
多細胞性球状体、多数の細胞が3次元的に集合した状態で、組織よりはるかに少ない細胞量(数十から数千個程 度)の塊のことをいいます。たとえば近年、細胞を「クスリ」として投与することによる治療への期待が高まってお り、生体内で細胞は、周りの細胞や細胞外基質と密接な相互作用をしていることから、細胞を三次元培養することで 得られる細胞塊であるスフェロイドは、細胞の機能を最大限に引き出すことのできる投与方法として注目されていま す。
注20:CellPet FT
4【関係会社の状況】
5【従業員の状況】
(1)提出会社の状況
平成29年12月31日現在
従業員数(人) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(円)
30( 1 ) 43.4 3.9 5,696,858
セグメントの名称 従業員数(人)
オプティカル事業 12 ( - )
ライフサイエンス・機器開発事業 12 ( 1 )
全社(共通) 6 ( - )
合計 30 ( 1 )
(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマーを含む。)は、最近1年間の平均人員を( ) 外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。
4.最近1年間において従業員数が10人増加しております。これは、業務の拡大に伴う採用によるものでありま す。
(2)労働組合の状況
第2【事業の状況】
1【業績等の概要】
(1)業績
第24期事業年度(自 平成28年7月1日 至 平成29年6月30日)
当事業年度における我が国経済は、政府による経済政策の効果もあり、雇用・所得の改善が見られ緩やかな回復 基調となっているものの、世界各地での地政学的リスクの高まりによる世界情勢の不安定化や、アメリカの新政権 発足による金融市場の不安定な動き等、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような経済環境のなかで当社は、オプティカル事業及びライフサイエンス・機器開発事業という独自の技術 を利用した二つの事業により、前事業年度に続いて増収増益を実現いたしました。また、昨年度大阪大学吹田キャ ンパス内の産学連携棟に新設した細胞培養センターでは、当社独自の浮遊培養技術「Cell Float」を用いた製品開 発における培養評価に注力し、「Cell Pet 3D-iPS」や「Cell Pet FT」等の商品化に成功し、販売を開始いたしま した。
その結果、当事業年度の売上高につきましては、801,811千円(前期比 34.3%増加)となりました。 セグメント別の状況は次のとおりであります。
<オプティカル事業>
オプティカル事業におきましては、大型放射光施設「SPring-8」やX線自由電子レーザー施設「SACLA」と いった国内施設からX線ナノ集光ミラーの引き合いが堅調で、さらにアジア、ヨーロッパ及びアメリカなど海 外のX線放射光施設からの引き合いが活発でした。特に、ヨーロッパのX線自由電子レーザー施設を中心に、 昨年製造技術の開発に成功した長尺ミラーの販売が堅調でした。また、International Society for Optics & Photonics(SPIE 平成28年8月、アメリカ/サンディエゴ)、NSRCC Users Meeting&Workshops(平成28年9月、台 湾/台北)、日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウム(平成29年1月/神戸)やOptics & Photonics International Exhibition(OPIE 平成29年4月/横浜)といった国際的な学会・展示会に出展し、当社の技術を 発表・紹介いたしました。その結果、当セグメントの売上高は705,463千円(前期比 46.6%増加)と順調に伸 ばすことができました。
<ライフサイエンス・機器開発事業>
ライフサイエンス・機器開発事業におきましては、大型の自動細胞培養装置等の販売においては、当初見込 みよりも販売が減少する結果となりましたが、操業中の各種自動細胞培養装置の保守契約が堅調に推移しまし た。また、OEM供給のグラビア印刷試験機「GP-10」の販売や「自動抽出装置」の委託開発を引き続き受注しま し た 。 さ ら に 、 再 生 医 療 産 業 化 展 ( 平 成 2 9年 2 月 /大 阪 ) や Bi o te ch 20 17 ( 平 成 29 年 5 月 /東 京 ) な ど の 学 会・展示会において、当社独自の浮遊培養技術「Cell Float」の技術紹介を行い、本技術を使った「CellPet 3D-iPS」や「CellPet FT」等の新製品を参考出展し、多くのユーザーへ当社の新製品の機能及びその技術を紹 介いたしました。その結果、当セグメントの売上高は96,347千円(前期比 16.8%減少)となりました。
以上の結果、利益につきましては、事業の成長に伴う人件費の増加や、新たに設置しました細胞培養センターの 研究費支出などがあったものの、売上高が増加したことが牽引して、営業利益は165,690千円(前期比 136.2%増 加)、経常利益は199,706千円(前期比 60.4%増加)、当期純利益は129,925千円(前期比 55.2%増加)となりま した。
第25期第1四半期累計期間(自 平成29年7月1日 至 平成29年9月30日)
当第1四半期累計期間における我が国経済は、政府による継続的な経済政策の効果もあり、企業収益や雇用・所 得の改善が見られ緩やかな回復基調となっているものの、地政学的リスクの高まりによる世界情勢の不安定化等の 要因により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような経済環境のなかで当社は、オプティカル事業及びライフサイエンス・機器開発事業という独自の技術 を利用した二つの事業により、営業基盤の強化と拡充に努めてまいりました。
こ の 結 果 、 当 第 1 四 半 期 累 計 期 間 に お け る 業 績 は 、 売 上 高 3 6 7 , 9 9 8 千 円 、 営 業 利 益 1 7 3 , 1 8 8 千 円 、 経 常 利 益 174,380千円、四半期純利益108,430千円となりました。
セグメントの業績は、次の通りであります。 <オプティカル事業>
European XFEL(ドイツ)向けの大型案件やDiamond Light Source(イギリス)向け等の欧州関連の売上が 好調に推移し業績を牽引しました。この結果、売上高は314,882千円となりました。
<ライフサイエンス・機器開発事業>
当社が独自に開発した回転浮遊培養技術を用いたCELLFLOATシステム(CellPet 3D-iPS、CellPet FT)を当 第1四半期累計期間より本格的に販売開始し、好調な滑り出しとなりました。また、機器開発分野におけるグ ラビア印刷試験機売上も業績に寄与しました。この結果、売上高は53,116千円となりました。
(2)キャッシュ・フロー
第24期事業年度(自 平成28年7月1日 至 平成29年6月30日)
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ42,000千円増加 し、当事業年度末には300,026千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は211,070千円(前事業年度は129,718千円の獲得)となりました。これは主に、税 引前当期純利益189,928千円の計上、減価償却費70,344千円の計上及び、法人税等の支払額73,495千円等によるも のであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は114,564千円(前事業年度は300,790千円の使用)となりました。これは主に、有 形固定資産の取得による支出112,418千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は55,141千円(前事業年度は185,151千円の獲得)となりました。これは、長期借 入れによる収入60,000千円及び長期借入金の返済による支出115,141千円によるものであります。
2【生産、受注及び販売の状況】
(1)生産実績
第24期事業年度及び第25期第1四半期累計期間の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
第24期事業年度 (自 平成28年7月1日
至 平成29年6月30日)
第25期第1四半期累計期間 (自 平成29年7月1日
至 平成29年9月30日) 生産高(千円)
前年同期比 (%)
生産高(千円)
オプティカル事業 112,521 89.6 30,820
ライフサイエンス・機器開発事業 52,153 72.7 25,277
合計 164,674 83.4 56,098
(注)1.金額は製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注状況
第24期事業年度及び第25期第1四半期累計期間の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
第24期事業年度 (自 平成28年7月1日
至 平成29年6月30日)
第25期第1四半期累計期間 (自 平成29年7月1日
至 平成29年9月30日) 受注高
(千円)
前年同期 比(%)
受注残高 (千円)
前年同期 比(%)
受注高 (千円)
受注残高 (千円) オプティカル事業 202,658 38.3 534,372 51.5 114,887 334,377 ライフサイエンス・機器開発事業 98,351 123.6 37,689 105.6 22,175 6,748
合計 301,009 49.5 572,061 53.3 137,063 341,126 (注)1.金額は販売価格によっております。
(3)販売実績
第24期事業年度及び第25期第1四半期累計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
第24期事業年度 (自 平成28年7月1日
至 平成29年6月30日)
第25期第1四半期累計期間 (自 平成29年7月1日
至 平成29年9月30日) 販売高(千円)
前年同期比 (%)
販売高(千円)
オプティカル事業 705,463 146.6 314,882
ライフサイエンス・機器開発事業 96,347 83.2 53,116
合計 801,811 134.3 367,998
(注)1.最近2事業年度及び第25期第1四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績 に対する割合は次のとおりであります。
相手先
第23期事業年度 (自 平成27年7月1日
至 平成28年6月30日)
第24期事業年度 (自 平成28年7月1日
至 平成29年6月30日)
第25期第1四半期 累計期間 (自 平成29年7月1日
至 平成29年9月30日) 金額(千円) 割合(%) 金額(千円) 割合(%) 金額(千円) 割合(%) FMB Oxford Limited - - - - 186,000 50.5 European x-ray free
electron laser(Eu-XFEL)
- - 210,820 26.3 - -
SLAC National Accelerator Laboratory
- - 133,824 16.7 - -
Diamond Light Source 82,848 13.9 - - - - National Synchrotron
R a d i a t i o n R e s e a r c h Center
73,900 12.4 - - - -
(注)販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満のものについては記載を省略しております。 2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、世の中にないオンリーワンの技術により、広く社会に貢献することを経営理念として掲げ、現在創薬、 医療技術分野における先端技術の研究開発・実用化の促進に貢献することを中期経営方針として『オプティカル事 業』及び『ライフサイエンス・機器開発事業』を推進しております。
(2) 経営環境等 <オプティカル事業>
世界の放射光施設やX線自由電子レーザー施設は約70か所あり、目下、新設や増設、高度化投資が盛んに行われ ております。平均的なビームライン数は1施設当たり約30本、おおよそミラー4~10枚/ビームラインであり、こ れらがX線ミラーの潜在的な市場規模を構成しています。(平成27年6月19日、株式会社シード・プランニングに よる調査「放射光用X線ミラー市場に関する調査」による)
特に、約10年前に当社のX線ナノ集光ミラーを上市した時点では、海外の放射光施設では今日のような高精度の ミラーの需要はわずかしかありませんでしたが、当社ミラーが採用され、世界で初めて稼働され、その後さらにい くつかの納入実績を背景に特に海外施設からの注文が加速度的に増え、今では当社ミラー売上の8割以上が海外受 注分で占めるようになりました。
さらにこの70か所のほか3.5世代や新しい自由電子レーザーなどの施設が30施設建設中・計画中で順次完成して おり、これら次世代の高度化施設の新設に伴い、高精度ナノ集光ミラーの需要拡大が予想され、今後それぞれの建 設中の放射光施設のビームラインは2~3年ごとに5~6本のビームラインが随時立ち上がる予定で、少なくとも 今後10年以上は需要が継続し、市場規模は拡大傾向にあると考えております。
<ライフサイエンス・機器開発事業>
ライフサイエンス・機器開発事業は、創業当初から続く当社の根幹事業であり、特に自動細胞培養装置の事業 は、大手企業が次々に撤退するなか、当社は再生医療及びiPS細胞関連機器へと順次開発・製造を推進してまいり ました。今後も自動細胞培養装置の事業を継続するためには、これまでどおり絶え間ない自動化の技術開発と協力 会社との連携による効率の良い生産体制の構築が必要不可欠であると考えておりますが、さらに独自の培養技術の 開発が必要不可欠と考えております。
現在、iPS細胞の出現により再生医療や創薬の分野において新しい産業が創出されようとしておりますが、iPS細 胞の産業化が進む現状で、その大量培養技術の確立が急務となっております。
そこで当社は、長年、産業技術総合研究所と共同開発している当社独自の浮遊培養技術「CELLFLOAT」をキーテ クノロジーとして「3次元培養技術に関する研究開発」を推進し、急成長が予想される再生医療向けの周辺産業に 関する自動細胞培養装置や培養容器などの商品開発を積極的に展開しており、平成29年1月には「CellPet 3D-iPS」や「CellPet FT」等iPS細胞用の3次元培養装置を中心に随時上市してまいりました。さらに平成29年7月に は本技術が、大阪大学等と戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン、経済産業省)に採択され、大阪大学医学部の 協力を得て「CellPet 3D-iPS」をもとにiPS細胞の創薬や再生医療への展開に必要な大量培養技術の開発を加速し てまいります。(研究テーマ「iPS細胞等幹細胞の高効率な継代作業を実現した3次元大量継代培養自動化技術の実 用化開発」)
また平成28年9月には日本医療研究開発機構(AMED)に採択され、再生医療向けの3次元培養システムの商 品化のために臨床研究を進めております。(研究テーマ「臨床試験を目指す3次元細胞培養システムを用いた革新 的ヒト弾性軟骨デバイス創出」)
(3) 対処すべき課題 ① 事業活動に関わる課題 <オプティカル事業>
現有する生産設備だけではこれ以上の需要の伸びに対応することが困難であり、生産設備の効率化や増強、生産 工程の見直し等を当事業での重要課題としてとらえております。
このため当社では、EEM装置とMSI及びRADSI計測装置等の生産設備の増設を積極的に進め、また海外競合他社に 対する技術的地位を維持するため、ナノ加工技術の効率化を図るための研究開発を推進しております。
また世界各地の放射光施設では光源の強化が図られ、そのバージョンアップに対応するための新しい光学系の構 築が求められており、回転楕円ミラーや形状可変ミラー等次世代放射光向けの新製品の開発を推進しております。
<ライフサイエンス・機器開発事業>
再生医療の拡大に伴い、その周辺産業の市場規模も拡大傾向にあり、品目別市場規模の当社に関連する自動細胞 培養装置、培養容器及び再生医療・創薬用の各種細胞ソース等の市場も拡大すると予想されております。そのなか で、当社としては市場の拡大に備えるために優秀な技術者の確保、生産体制の強化、保守サービスの構築が当事業 での重要課題であると認識しております。このため当社では優秀な技術者の確保のために積極的な中途採用活動を 展開する一方で、生産体制の強化や保守サービスの構築につきましては社内リソースの増強ではなく新たな協力会 社との関係構築によって対応する方針であります。
② 技術開発体制の構築
当社の顧客の多くは、基礎研究に取り組んでいる研究機関・大学・企業の研究者で、この基礎研究の分野で当社 が成長するには、最先端の技術動向のキャッチアップと継続的な技術開発を可能とする開発体制を構築し、継続的 に付加価値を提供することが重要であると考えております。
このような認識のもと、オプティカル事業では国際学会での企業展示だけでなく、当社の製品や最新の技術紹介 等を積極的に発信してまいります。また、ライフサイエンス・機器開発事業においては、独自に細胞培養センター を設け、ここをオープンイノベーションの拠点として最先端の技術開発に取り組んでいる研究機関や大学との共同 研究や企業との事業連携を積極的に推進することに努めてまいります。また、その体制のもとで定期的な勉強会や 講義を積極的に実施し、当社技術者の技術レベルの向上も図ってまいります。
③ 営業力の強化
当社の両事業とも、その事業規模を拡大させるためには営業力の強化が重要であると考えております。しかしな がら、当社が取り扱っている製品は、コンサルティング営業ができるような知識が必要となり、即戦力となる営業 人材の確保は難しく、継続的な営業人材の確保と強化は特に重要な課題であると考えております。具体的には、技 術者の社内ローテーションや製品に関連する物理学等の基礎学力を有している人材の採用活動を行い、加えて既存 営業マンによる継続的な現場教育を推進し、ライフサイエンス・機器開発事業を中心に営業力の強化に注力してま いります。
④ 内部管理体制の強化
ここ数年間の当社の急速な成長にともない内部管理に関係する業務が多岐にわたって発生しておりますが、今後の さらなる成長のためには内部管理体制の一層の強化を図る必要があると認識しております。そのためには、内部管理 の重要性に対する全社的な認識の強化をさらに進めるとともに、現在内部管理に従事している従業員のスキル向上の ための教育を実施することはもちろんのこと、経理・人事・広報・法務等に精通した人材の積極的な採用活動も推進 して、業務の有効性と効率性を高めてまいります。